ジャズの歴史や血筋の話はとりあえず横に置きます。ジェラルド・クレイトンの音楽に興味を抱いた一つの理由は、かつてギル・スコット・ヘロンの再来と言われた詩人、作家、脚本家にしてシンガーのカール・ハンコック・ラックスの言葉を大切に扱っていたことです。そして、ジェラルドのピアノには、優れたスポークン・ワードを彷彿させる豊かで鋭いタッチがあります。大切なことを共有してきたローガン・リチャードソンやケンドリック・スコットらと、今回どんな音を紡ぎ出すのか、楽しみでなりません。
「ジャンルを混じり合わせるだけがジャズを新しくする方法ではない」ということを2010年代に入っても伝えてくれる希少な存在がピアニストのジェラルド・クレイトンだ。モダンジャズの手法や技法を駆使しながら、それをこれまでに見たことのないやり方で再構築することで、新鮮な響きを鳴らしてしまうジェラルドは紛れもない天才。ジャズ100年の歴史が織り込まれた新しいサウンド、これもまた現代ジャズの最先端のひとつだ。彼のバンドを遂に日本で生で見ることができる!
ラヴィ・コルトレーン、タイラー・マクファーリン、トモキ・サンダース等ジャズ・レジェンドの2世達への注目度が高まっている。ジェイ・クレイントンの息子であるジェラルド・クレイトンもその1人。オーセンティックなジャズを継承しながらも現代的なコンポジションでジャズに新たな風を持ち込もうとする姿勢に好感が持てる。アルバムの冒頭を飾る「Unforeseen」はクラシカルな響きの中に"現在"を見出した先鋭的な快作。ケンドリック・スコットら今をときめく豪華メンバーとの来日公演も真近!
クレイトンは、真摯で知的なジャズ・ピアニストである。そんな彼の2017年新作『トリビュータリー・テイルズ』は多彩な音楽要素がリアル・ジャズという焦点に注ぎ込むような内容を持つ。そして、今回の彼の公演はその自信作をフォーローするもの。そこには、高校以来のジャズ仲間で現在はパリ在住のジョー・サンダース、パット・メセニー入りの新作を昨年ブルーノートから出したローガン・リチャードソン(彼もパリ在住)、そしてこの1月にコットンクラブでリーダー公演も持った現代ジャズ・ドラミングの匠であるケンドリック・スコットが加わる。気心の知れた面々との実演は、まさしく今という時代の瑞々しいジャズのあり方を指し示すはずだ。
『トリビュータリー・テイルズ』
(AGATE / Inpartmaint)
※2017年4月21日発売予定
『ライフ・フォーラム』
(ユニバーサルミュージック)